家庭用浄水器は、水道に取り付けるだけで水道水が美味しくなる、という優れたアイテムです。
でも、実際に付けてみてもあまり効果を感じている人は少ないのをご存知でしょうか?
浄水器は本当に効果があるのでしょうか?
家庭用浄水器は、「水」をろ過して浄化するというイメージがあります。
でも、実はそうではないものが大半だそうです。
実際の浄水器の主な作用は「古い水道管対策」です。
世界と比べると日本の水道水の基準は高いです。
そのため、元々水道局で作られる水道水は安全に処理されています。
しかしながら、水道水からご自宅の蛇口までは、完全に衛生状態が管理されていると言えるでしょうか?
古い住宅であれば、当然設置された水道管も古くなります。
古くなった水道管には、サビが生えたりと、水に不純物を混じらせてしまうわけです。
設置されてから20年以上経った水道管は60%以上がサビで覆われてしまう、という話もあるようです。
また、沖縄では水道水が貯水タンクを経由する場合も多いでしょう。
でも、その貯水タンク、本当にきれいですか?
給水制限がほとんどなくなってきた近年、それはそれでうれしい事ですが、逆に貯水タンクの存在をほったらかしにしてしまいがちではないでしょうか?
いつの間にか、台風で貯水タンクのフタが開いて、中にボウフラが湧いていたとか、タンクの給水管が錆びてしまっていることもよくあるケースのようです。
このように、本来ないはずの不純物が混じった水道水から、不純物を取り除いてくれるのが浄水器の役割です。
もちろん、余分な塩素やカルキ成分なども取り除いてくれる場合もあるでしょう。
そのまま水道水を飲むよりは、浄水器を通した方がマシ、という事になります。
浄水器の水は、「安全に近づけた水」でしかありません。
それ以外にも、いくつかの問題点があります。
実際に浄水器を付けたことがある方は感じたことがあると思いますが、一般的に浄水器をつけると出てくる水量が少なくなって、チョロチョロと出てくる状態となり、何だかイライラしてしまうのです。
しかも沖縄の水道水は硬水の傾向が強いので、長期間使用していると給水管にカルシウム分が付着することで、さらに出てくる水量が少なくなってしまうことも。。。
急いでいるときなどは、結局レバーをひねって原水のままにしてみたりして、あまり浄水器の意味がないことも。。。
一般的な浄水器はお湯が使えません。
浄水器にお湯を通すと、浄水器内部の水カビの匂いが移って、カビ臭くなるという声も聞かれます。
浄水器は、きれいな水を作るためのフィルターが消耗品です。
家庭用浄水器のフィルターは、一般的に活性炭と中空糸膜を組み合わせたものが多く出回っています。
活性炭は、炭の小さな穴に水道水内の有害物質を吸着させて浄水します。
中空糸膜はストロー状になった糸に水を通し、ミクロサイズのヒダ部分に不純物を吸着させて浄水します。
どちらも孔(穴)が詰まってくると能力が低下します。
また、長期間の使用で浄水器内部にカビが生える場合もあります。
安全、安心な水を飲みたいと思っていたのに、浄水器を設置しただけで安心して、かえって汚れた水を飲んでいた、なんてことも。。。
また、
「メンテナンスをしたいのに、連絡がつかない。」
「メンテナンスをしたくても、購入した会社がなくなってしまった。」
なんてもことも多いので、注意が必要です。
浄水器は、悪質商法の商材として使われる例が多いのも事実です。
浄水器の販売業者が増えて、執拗な訪問販売や各社の誇大広告も問題になりました。
福島原発事故の後では、根拠もないのに、「放射性物質完全除去」、「放射性物質90~97%高効率除去」などと虚偽広告、不当表示の例が増え、問題になりました。
上述のように、メンテナンスをしようと思って連絡したら連絡がつかない、などのケースもありました。
沖縄県宜野湾市の米軍基地からの泡消火剤に含まれる有機フッ素化合物等による水質汚染問題。
付近住民の血中濃度調査でも、体内に有害物質が含まれてしまっていることが明らかになりました。
住民宅では、浄水器を設置している家庭もあったのに、有害物質の濃度が低くありませんでした。
『浄水器は気休めだった』と、がっかりする声が沖縄タイムス(2019年5月20日)にも掲載されていました。
残念ながら、一般的な浄水器では沖縄の水質汚染問題になっている有機フッ素化合物(PFOS等)を除去することはできない、と考えておいた方がいいでしょう。
しかしながら、近年メーカーの開発努力によって、PFOS除去に対応した浄水器も出てきているので、選択肢の一つになり始めてきています。