全国的に見ても、沖縄の水は特別な問題をたくさん抱えています。
水道水だけで安心とは言えない残念な事情がいろいろあるんですよね・・・。
水道水は、「美味しさ」を第一に製造されているわけではなく、多くの人が生活用水として使うために、大量に確保しやすい水源からの水を、大量に消毒して、多くの企業や家庭で使うことを第一目的としています。
そのため、どうしても味は二の次になってしまいます。
大量製造のため、以下のような課題があることも水道水が美味しくない原因として挙げられています。
「軟水」と「硬水」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
WHO(世界保健機関)で定められた基準があり、水に含まれる硬度(水に含まれるカルシウムやマグネシウムの含有量)によって分類されています。
軟水 | 1リットルあたりの含有量が60mg未満 |
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硬水 | 1リットルあたりの含有量が60mg以上 |
沖縄は、サンゴ礁で作られた石灰質を含んだ島が土台になっていますので、カルシウムやマグネシウム分がどうしても多くなります。そのため、水道局で調整していてもどうしても硬度が高めになります。
硬度が高い水(硬水)は、口当たりが重く、苦味を感じます。
また、マグネシウム分が多いと胃腸への負担が大きくなり、小さなお子様の飲用としては適していないと言われています。
逆に「軟水」は口当たりがさっぱりしています。
生活環境から、日本人には軟水のお水の方が合うと言われています。
カルキ(残留塩素)というのは、水道水を消毒するときに用いる塩素が水道水の中に残留していて、その塩素のにおいになります。
水道系統やその管理状態によって、カルキの含まれる量が多い場合があり、特に敏感な方などはそのカルキのにおいが気になってしかたがない、という方もいらっしゃいます。
有機フッ素化合物PFOSとは、発がん性などのリスクが指摘されている物質です。
同様に、有機フッ素化合物PFHxSは、コレステロール値や肝機能への悪影響が指摘されている物質で、規制に向けて国際的な議論が進んでいます。
有機フッ素化合物のPFOSとPFOAは国内の使用が原則禁止されています。
2019年5月、京都大学医学部の教授たちによる沖縄県宜野湾市大山の住民の血液濃度調査で、全国平均の4倍以上のPFOSの値が検出されました。
さらに、PFHxSに関しては、全国平均の53倍に上る血中濃度が検出されました。
PFOSは米軍の嘉手納基地や普天間飛行場周辺の河川で高濃度で検出されていることから、基地が汚染源だと指摘されています。
比較対象地域として南城市民に対しても、血中濃度の調査が行われました。
全国平均 | 南城市 | 宜野湾市 | |
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PFOS (発がん性のリスク) |
3.5 | 6.6 (全国平均の約2倍) |
13.9 (全国平均の約4倍) |
PFOA (発がん性のリスク) |
1.5 | 2.7 (全国平均の1.8倍) |
3.3 (全国平均の約2倍) |
PFHxS (肝機能障害のリスク) |
0.3 | 3.9 (全国平均の13倍) |
16.3 (全国平均の約54倍) |
※全国平均:2016年環境省「科学物質の人へのばく露量モニタリング調査結果について」より
※宜野湾市は41名、南城市は64名に調査
沖縄は山地が河川が少ない島ですから、昔から土地柄として水不足の問題があります。
特に1980年代は本島全域に水不足の問題に悩まされ、特に水の需要が高まる夏場に断水などの水不足問題が頻発しました。
今でも貯水タンクを備えている家も数多くあります。
ダムの建設によって問題は沈静化してきましたが、近年新たに気象変動の問題や、大地震への懸念から、実際に事が起こったときには、再び水不足の問題が起こるリスクが高い地域です。
自然の河川が少ない沖縄にとって、安心して美味しい水を確保することは、これからも沖縄の地域課題の一つであることに変わりありません。
トリハロメタンは、水道水を消毒する際に使う塩素と、元々水源に含まれている有機物とが化学反応を起こして作られてしまう、『消毒副生成物』です。
そのトリハロメタンは、発がん性物質です。
水源の水が汚染されていればいるほど、塩素処理をしたときにトリハロメタンも増えてしまいます。
水道浄水場の処理で、基準値以下には抑えるようにされていますが、汚染された水源と塩素の消毒の組み合わせをしている以上、トリハロメタンの発生を抑えることは難しいのです。