以前から沖縄の水質汚染問題として懸念されていた、米軍基地からの有機フッ素化合物PFOSを含む泡消火剤が、2020年4月大量に放出される事故が起こりました。
2020年4月10日、米軍普天間飛行場から泡消火剤が大量に流出する事故が起こりました。
泡消火剤の何が問題かというと、泡消火剤には以前から水質汚染で問題になっていた、有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)などが含まれているからです。
PFOS・PFOA
有機フッ素化合物の一種。発がん性などが指摘されている。
PFOSは残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)で国際的に製造・使用が制限され、国内でも一部例外を除き原則的に使用・製造が禁止されている。
PFOAは世界保健機構(WHO)の外部機関が発がん性の恐れがある物質に指定し、主要な科学メーカーが既に自主的に使用を廃止している。物質としての安定性が高いため、環境中でほとんど分解せず、生物中に蓄積することが懸念されている。
つまり、【泡消火剤 = 発がん性物質】なわけです。
その発がん性物質が基地周辺の川(宇治泊川付近)に大量に流出し、付近には泡が立ち込めていました。
その流出した泡消火剤の量がなんと、ドラム缶719本分の14万3千L(リットル)というあまりにも膨大な量なんです。
事故で漏れ出たのか、意図的に排出されたのかは調査中のようですが、以前から地元の水質汚染で問題視されていた中、今回の事故は改めて基地と水問題に注目を集めています。
大量の泡消火剤の大部分は、回収されることもなく、そのまま海に流出されていったはずです。
私たち人間が使っている水道水原水の汚染懸念はもちろんのこと、海の生態系への悪影響も見逃せません。
米軍普天間飛行場からの有機フッ素化合物(PFAS)を含む大量の泡消火剤流出事故にて、後日水質調査が行われました。
その結果、水汚染の判断基準値の6倍にもおよぶ多量のフッ素化合物が検出されました。
[ナノグラム/L] | PFOS | PFOA | 合計値 | 備考 |
---|---|---|---|---|
汚染判断の暫定指標値※ | - | - | 40 | ※米国環境保護庁(EPA)による |
①宇治泊川 (泡発生地点) |
68.2 | 179.0 | 247.2 | 4月12日PM7時過ぎ |
②泡が付着した水たまり | 52.8 | 91.2 | 144.0 | 4月11日AM9時頃 |
③暗渠 合流地点 |
13.7 | 36.3 | 50.0 | 4月13日PM6時半過ぎ |
④牧港漁港 | 11.8 | 29.2 | 41.0 | 4月12日PM7時半頃 |
⑤宇地泊川上流 | 3.6 | 26.6 | 30.2 | 4月12日PM7時頃 |
※分析は京都大学環境衛生学原田浩二准教授
※琉球新報社調査を元に一部加筆修正
今回の事故に関しては、米軍内部でも問題視されて、今後は気を付けるようです。
しかしながら、もう何年も前から汚染が指摘されてきているのに、何年も改善されないままで今回の事故も引き起こされているという現実があります。
私たち県民の不安は簡単にはなくなりませんよね。。
米軍や国が何とかしてくれるのでしょうか?
自治体が汚染除去をしてくれるのでしょうか?
結局、私たち一人一人が個人で可能な限りの安全を確保していくしかないのが現状なのかもしれません。。