2022年6月、宮古島の水道水汚染の実態がニュースで報道されました。
原因は、「毒性が長期間続く農薬による汚染」です。
2022年6月29日の宮古毎日新聞によると、昨年2021年11月に宮古島市内で採取した地下水・水道水・市民の尿からそれぞれ複数の農薬成分が検出されたという。
以下、引用です。
宮古島地下水研究会(前里和洋、新城竜一、友利直樹共同代表)は28日、県農業共済組合宮古支所会議室で会見し、2021年11月に宮古島市内で採取した地下水、水道水、市民の尿からそれぞれ微量ながらも複数の農薬成分が検出されたと公表した。
検出されたのはネオニコチノイド系とフェニルピラゾール系の成分。同会では「広範囲に及ぶ地下水複合汚染が示唆されるとともに、慢性暴露による子供たちの健康への影響が懸念される」と警鐘を鳴らした。
調査は咲田川湧水や保良ガー、平良下里の水道水など計10カ所で実施。化学農薬濃度測定を専門の分析機関に依頼したところ判明した。主にサトウキビに用いられる農薬となっている。検出量は1リットル当たり多いところで180ナノグラムパ-ミリリットルとなっている。
同会では多量の農薬の地下水への負荷と地下ダム止水壁による自然の水循環破綻により浄化機能が低下したことで、「地下水の科学農薬濃度が非常に増加しやすい環境になっている」と指摘した。
ネオニコチノイド系農薬などによる健康への影響として▽自閉症スペクトラム障害▽肥満・メタボリック症候群・糖尿病▽パーキンソン病▽慢性腎臓病│の発症リスクの可能性があるという。
2022年6月29日 宮古毎日新聞より抜粋
地下水・水道水・市民の尿のそれぞれから検出されたということは、島で使われている農薬成分が、地下水にも水道水にも流れ込んで、人体に入り込んでしまっているということになります。
つまり、宮古島では有害な農薬が含まれている水を飲んでしまっているという現実が明らかになったわけです。
記事に書かれていた、『ネオニコチノイド系農薬』や『フェニルピラゾール系農薬』とはどういった農薬なのでしょうか?
改めて人体への影響を調べてみました。
ネオニコチノイド系農薬とは、主に昆虫に対して強い神経毒性を持ち、農作物向け殺虫成分として、日本を含めた世界の4分の1ほどで使用されています。
同様の毒性をもつ、フェニルピラゾール系農薬と共に、「一度使うと長く効く」ため、「浸透性殺虫剤」と呼ばれています。
しかしながら、「一度使うと長く効く」ということは、「毒性が長く続く」わけです。
土壌中では数ヶ月から数年間も毒性が持続するとのこと。
さらに水に溶けやすいという性質から、農地だけではなく周辺環境への毒性の蓄積が問題視され、生態系全体に悪影響を与えてしまうため、科学者たちからも警鐘が鳴らされています。
以下の病気や障害の発症リスクの可能性が示唆され、国連環境プログラム(UNEP)の年報にも取り上げられたり、国立環境研究所でも研究発表されています。
ネオニコチノイド系農薬などによる人体への影響
国立環境研究所HP 「ネオニコチノイド系農薬の発達期曝露・・
西日本新聞 ミツバチの大量死や失踪…影響疑われる農薬、なぜ禁止しない?
ネオニコチノイド系農薬といえば、世界中で大量のミツバチが巣に戻らなくなり、消えてしまって大問題になっていることの原因と言われている農薬です。
さまざまな研究機関からも、その危険性が叫ばれている農薬です。
人体に全く影響がないわけないですよね。。
EUでは、ネオニコチノイド系の毒性の強い成分に関して屋外使用の禁止や登録失効が、フランスではネオニコチノイド5種が全廃する政令が公布されています。
韓国や各国の州および都市単位でも同様の措置が拡がっています。
しかしながら日本では残留基準値が緩和されるなど、世界の動きと逆行しているというのです。
このような現状から、2018年に日本弁護士会から農林水産大臣に対して「ネオニコチノイド系農薬の使用禁止に関する意見書」が送られ、ネオニコチノイド系農薬およびフィプロニルの暫定的登録停止と販売や使用の禁止が訴えられています。
今回のニュースは、地下水の利活用で水質検査を定期的に行っていた宮古島で、たまたま発覚したわけです。
沖縄ではサトウキビの栽培などでネオニコチノイド系農薬は未だに使用されており、しかも世界の流れに反して日本ではネオニコチノイド系農薬の使用規制が緩和されているという状況です。
単純に考えて、県内でサトウキビを栽培している場所は宮古島以外にもたくさんあるわけですから、同種の農薬を使ってるわけで。。宮古島以外は安心というわけではないと言えるでしょう。
残念ながら、私たちも、農薬入りの水道水を飲んでしまっている可能性があるわけです。
毎日飲む水ですから、結局自己防衛していくしかないのが現状と言えるのではないでしょうか。