令和4年4月から実施された水質検査基準改定が、物議を呼んでいるようです。
水道水に含まれる農薬許容量の基準がゆるくなり、安心感が減ることで、水道水への不安を訴える声が上がっているようです。
私達の生活に欠かすことができない毎日使う水道水。
水道水は、安心して飲んだり生活で使えるように、水道局で処理された水が送られてきます。
つまり、水道水に使われる源水は、汚泥や農薬などに汚染されていて、安全とは言えない水なわけです。
そこで私達の健康に害が出ないように、国の法律の水道法第4条において、水質成分の基準値が定められています。
安全基準を満たすためには51もの項目基準をクリアする必要があります。
健康上の基準はもちろん、色や匂いなどにも基準が設けられています。
2022年(令和4年)4月に、この水質検査基準の見直しが行われました。
通常、『見直し=改善』のはずなので、見直しは喜ばしいことかと思いきや、『改善と言えない』 ということで話題となっています。
注目点としては【農薬の目標値の見直しが、規制緩和された】という事です。
農薬の成分の一つに有機リン系の化合物であり、殺虫剤として果物や野菜に幅広く使用されているホスチアゼートという成分があります。
ホスチアゼートは、ラット・マウス・魚類などを使った実験でもその有毒性が認められています。
※農薬評価書「ホスチアゼート」 2020年12月食品安全委員会
近年でもイチゴから基準値を超えた大量のホスチアゼートが検出されたことでニュースにもなっています。
イチゴから基準値超える農薬 栃木
栃木県は、真岡市の農家が出荷したイチゴから基準値を超える農薬が検出されたと発表した。
基準値を超える農薬が検出されたのは真岡市内の農家が出荷したイチゴ「とちおとめ」。先月26日に県が市内の「道の駅にのみや」で販売されていた、この農家が出荷したイチゴを検査したところ、農薬の「ホスチアゼート」が基準値の0.05PPMを超える0.07PPM検出されたという。
この農家は、去年11月26日から市内の道の駅やJAに、あわせて約600キロのイチゴを出荷したということだが、県はJAなどに回収するよう命令し、現在、この農家が出荷したイチゴは販売されていないという。
※日テレNEWS 社会面 2015年2月4日 イチゴから基準値超える農薬 栃木
2022年(令和4年)4月の水道水基準値改正で、なぜかそのホスチアゼートの含有基準値が、0.003 → 0.005 [mg/L]に緩和されました。
厚生労働省としては「安全に水道水が利用できるように見直しを行った」との事ですが、私たち利用者側としては気になる、というのが正直なところです。
日本はただでさえ農薬を大量に使用している国です。
昔と比べて海辺の水産物が採れなくなったのは、農薬が川から流れ込んてきて、海辺の生態系が変わってしまったのが原因だ、という意見も耳にします。
自分たちが使う水道水にどれくらい農薬が含まれているのか心配になるのは当然のことだとおもいます。
「安全性を向上させるのが目的なら、なぜ基準を緩和させる必要があるのか?」
「そもそも農薬の使用基準を規制すべきで、水道水に農薬が混じることを防ぐべきではないのか?」
といった意見が様々なところから寄せられているそうです。
さらに、このような消費者の生活に直結するような事実が、メディアで報道されずに、一般人が全く知らないうちに実施されているのも怖いところです。
毎日使う水ですから、できるだけ安全・安心なものを使いたいですよね。