広島県福山市の河川から安全基準値の11倍ものPFASが検出

今回は、広島県福山市における水道水の安全性と最近発表された水質問題について、特にPFAS（有機フッ素化合物）という物質に焦点を当て、詳しくお伝えいたします。

福山市は、広島県南東部に位置し、芦田川をはじめとする豊かな水資源に恵まれた都市です。

これまでも水道事業に力を入れており、源流となる芦田川や三原川などの浄水処理を通して、安定した水道水の供給を行ってきました。

しかし、令和6年2月21日に発表されたニュースによれば、市内の芦田川水系の支流の一つである深山川において、健康面への影響が懸念されるPFAS（ピーファス）の一種である「PFOA（ピーフォーエー）」と「PFOS（ピーフォス）」の濃度が、国の暫定目標値を大幅に超える水準で検出されたのです。

以下は福山市発表の調査結果の一部を簡潔に表にまとめたものです。

※ng/Lとは1リットルあたりのナノグラム（10億分の1グラム）という単位で、水に含まれる物質の極微量を表現する際によく用いられます。
※PFASは、プールに耳かき1杯分くらいの微量でも影響がある有害物質です

PFASとは「有機フッ素化合物」の総称で、撥水性や耐熱性に優れる人工化学物質であり、消火剤・テフロン加工・食品包装・衣類など、私たちの生活の多くに利用されてきました。

しかしこのPFAS、非常に分解されにくく、長期間環境中に残り続ける「永久化学物質（Forever Chemicals）」とも呼ばれています。

PFASに含まれる物質の中でも、特に注目されているのが「PFOA」と「PFOS」。

これらは長期間にわたって体内に蓄積されることから、肝機能障害、甲状腺への影響、発がんの可能性、小児の発育障害、免疫系への影響などが報告されており、国際的にも規制が強化されつつあります。
有機フッ素化合物PFASとは？

福山市の公式発表では、現在の水道水にはこれらの影響は及んでいないとのことですが、地下水（井戸水）を日常的に使用しているご家庭、特に検出地点の近隣地域の方々にとっては見過ごせない問題です。

福山市はこれらの井戸利用世帯（約50世帯）に飲料水を配布し、健康調査も希望者に提供する方針を示していますが、原因の特定や徹底した再調査が不可欠です。

市の発表は「水道水は安全」と繰り返していますが、今回のPFASの検出濃度を受けて、今後も類似ケースが発生しないとは限りません。

特に、井戸水を利用している方はもちろん、赤ちゃんや妊婦さん、高齢者など、特に化学物質に敏感な方々には注意が必要です。

では、今できる対策とは何でしょうか？

まず、水の安全性に不安がある場合は以下のような措置の検討をおすすめします：

- 信頼性の高い浄水器の導入（活性炭式フィルターや逆浸透膜システムでPFASの除去効果が認められているもの）
- ウォーターサーバーなど第三者機関で品質検査された「安全な飲料水」の利用
- 市の提供する情報の定期的なチェックと、健康調査への積極的参加
- 雨水や井戸水を使って農作物を育てている場合は、その使用を見直すこと

特に、小さなお子様がいるご家庭では、水の安全性は将来の健康を左右する重要な視点です。

※参照：NHK広島