四国の南東部に位置する高知市は、清流・鏡川や仁淀川を含む美しい自然に恵まれた地域です。
実際、高知の水道水には鏡川や仁淀川の水が使われており、「名水百選」にも選ばれるなど、水質の良さが知られてきました。

また、地下水の利用も多く、特に郊外地域では井戸水を生活用水として使っているご家庭もまだまだ存在しています。

その一方で、近年は人口の集中や都市化、工業地跡の影響などにより、水源の安全性に不安を感じる住民も増えてきました。

特に過去に工場や産業施設があったエリアでは、土壌や地下水に有害物質が残っている可能性もあり、行政による定期的な調査が必要とされています。

2025年3月の報道によると、高知市大津甲の旧・高知矢崎商事大津工場跡地から、国の基準値を大きく超える有害物質「クロロエチレン」が土壌と地下水から検出されました。

PFASとは別ですが、クロロエチレンは別名「塩化ビニルモノマー」とも呼ばれる化学物質で、ビニール製品などの原料として使われますが、高濃度での長期曝露には発がん性の懸念があります。

高知市の発表によると、検出されたクロロエチレンの濃度は地下水で基準値の最大「50倍」、土壌では「10倍」という非常に高い値でした。

以下は検出値の概要です：

現在、健康被害は報告されていないものの、高知市は半径500m以内の地域への影響を調査中です。

また、住民に対しては井戸水を飲まないよう注意喚起しており、「万が一使用する場合は市に相談するように」と呼びかけています。

わたしたちが日々使っている水ですが、その安全性は「見えない」ことが大きな不安材料になります。

今回のように、高知市の自然豊かな場所であっても、過去の産業跡地が原因で地下水が汚染される例は全国でも報告されています。
このようなケースはどの地域でも起きうる可能性があります。
とくに地下水を生活水に使っている地域では、知らずに汚染された水を飲んでしまうリスクもあるのです。

高知市では浄水場を通じた水道水の安全性は高いとされていますが、井戸や地下水を直接使っている家庭では、汚染の影響を受ける可能性もゼロではありません。

特に、井戸水を飲用に使っている方や、赤ちゃんや高齢者がいる世帯では、水の安全性への対策をすぐに考えるべきです。

「ウォーターサーバー」や「浄水器」の導入を検討する動きが高まっていますが、選ぶ際には「有害物質の除去性能」がしっかり明記されている製品を強くおすすめします。

ただの味の良さやデザイン性ではなく、「クロロエチレンやトリハロメタンなどの有害物質をどこまで除去できるか」を基準に製品を選びましょう。

※参照：NHK高知放送局