沖縄の新聞やニュースでも騒がれているPFOSやPFOAと呼ばれている有機フッ素化合物は、特に妊婦に危険という話があります。
なぜ、特に妊婦にとって危険なのかを調べてみました。
有機フッ素化合物は、フッ素系の表面コーディング剤、あるいは衣類や建材の撥水剤として、幅広い分野で使われている化学物質です。
近年沖縄では、米軍基地の消火剤に大量に含まれていた有機フッ素化合物の一種(PFOS・PFOA)が地元の河川に大量に流出して、水源を汚染していると問題になり注目を集めています。
PFOS・PFOAは分解されにくく、動物やヒトの人体に入ると体の中で長期間蓄積され、健康に悪影響を及ぼします。
近年、世界的に規制されていて、日本では2010年にPFOSが、化学物質の規制に関する法律の第一種特定化学物質に指定されました。
PFOS・PFOAの人体への主な侵入経路
北海道大学の環境健康科学研究教育センターの研究調査によると、妊婦がPFOS・PFOAを人体に取り込んでしまった場合、胎盤を通して胎児に移動してしまうことが明らかになりました。
つまり、生まれてくる赤ちゃんにPFOS・PFOAの悪い影響を与えてしまう可能性があるということです。
調査から、PFOS・PFOAが胎児のアレルギー体質に関連するのではないかと言われています。
PFOS・PFOAの胎児への影響を調査したデータは世界的にも数少ないのですが、日本では2002年から2005年10月に札幌市内の産科医院にて、同意を得られた妊婦514名を対象とした研究があります。
妊娠中期〜後期に妊婦の採血を行い、血中のPFOS・PFOA濃度を測定。
さらに分娩時にも臍帯血を採取して、アレルギー調査に使う臍帯血中のIgE濃度を測定しました。
最終的に、PFOS・PFOA濃度とIgE濃度との関連については約半数の231名、PFOS・PFOA濃度と子供の18ヶ月までのアレルギー症状・感染症発症との関連については343名(約65%)もいました。
この研究は、一般生活上の低濃度のPFOS・PFOAの影響です。
未だ世界的な研究は中途段階です。
低濃度のPFOS・PFOAでも、影響が懸念されているのですから、高濃度で汚染された沖縄の水質汚染は大きな危険をはらんでいると言わざるを得ません。
さらに、有機フッ素化合物はPFOS・PFOAのみならずPFNA・PFHxS・PFUdA・PFDAなどの構造が似た化合物が多く存在するので、人体に何がどう影響するかは未だ分かっていない部分もあります。
いずれにしても、生まれてくる赤ちゃんのためにも、特に妊婦さんは飲み水には注意するに越したことがないでしょう。