近年、宮古島市で発達障害の子供が急増しているというニュースが出てきています。
原因はよく分かっておりませんが、生活環境が健康に影響を及ぼしていることを考えると、飲料水の影響が懸念されています。
宮古島市の発達障害の現状と、飲料水との因果関係の可能性等について調べてみました。
2025年9月、宮古島で、衝撃のニュースが報道されました。
宮古島市の発達障害児が、この8年間で何と44倍もの数に増えている、というのです。
「南の楽園で「発達障害児8年で44倍増」の衝撃 不安募らす島民・・」 2025年9月21日Yahoo!ニュースより
記事では、市内でも人数の多い平良第一小学校の特別支援学級のことが語られています。
同校では、2013年度には学校内で0人だった発達障害児が、
2014年度に6人となり、その後発達障害児が急速に増えていき、何と2022年度には過去最高の265人にまで増えたというのです。
何と、8年間で約44倍に増えたという異常な状況です。
発達障害児は全国的に増加傾向にあるようですが、それでも2014年度から2022年度の8年間の増加率は、全国平均で2.2倍程度。宮古島での増加率が、いかに異常であるかが分かります。
とある障害児を持つご家庭が、千葉県から宮古島に引っ越すことになり、事前に電話で宮古島市内の事業者に障害児のための支援サービスを申込もうとしたところ、
「15人待ちです」
と言われたそうです。
こんな小さな島に、障害を持つ子どもがそんなにいるのか・・
と、大変驚かれたとの事。
市内のある保育園のベテラン副園長によると、
特に増えているのは、自閉症のような症状、音に敏感、多動、落ち着かない、集団に入り込めない、コミュニケーションがとれない子。今や園児の4人に1人はそういう子どもたち・・
との事。
「正直、この島では子どもを産みたくない」
という親も増えているそうです。
気持ち、分かりますよね。。
この小さな宮古島で、これだけ発達障害児が急増している原因は何なのでしょうか?
近年、発達障害に対する症状が一般的に知れ渡ってきたので、その症状をみて「発達障害児である」と判断されるケースが増えてきただけで、実際は昔と大差はないんじゃないか、という人もいるようです。
しかしながら、住民の多くは、
「たしかにそういう面もあるかもしれないが、宮古島市の発達障害児の急増ぶりは、それだけでは説明がつかない」
ということ。
今のところ、『原因は不明』とされています。
一方で、生活と健康に密接な関係のある『飲料水原因説』が出てきているようです。
「南の楽園で「発達障害児8年で44倍増」の衝撃 農薬による地下水汚染を疑う市民・・」 2025年9月25日Yahoo!ニュースより
当サイトでも、以前に以下の記事にて紹介しています。
農薬による水道水汚染|宮古島
川のない宮古島にとって貴重な水源であり、島民の命綱である地下水。
この地下水の水質が年々悪化する兆候が見られ、一部の水道水からは欧州の水質基準を上回る濃度の農薬が検出されたとのこと。
2025年5月、市内3カ所で水道水の水質を検査したところ、ネオニコチノイド系農薬の一種であるクロチアニジンとジノテフランが検出されたそうです。
※ネオニコチノイド系農薬
ネオニコチノイド系農薬は、虫の神経をまひさせて殺すタイプの農薬で、1990年代に世界中で急速に広がりました。
特に稲や野菜、果物など多くの作物を守るために利用されてきました。
その特徴は、植物全体に薬が行き渡る「浸透性」があることで、葉や根だけでなく、花粉や蜜にも残ることがあります。
普及と同時に、各地で貴重な花粉媒介昆虫であるミツバチの生息数が激減するなど想定外の生態系の異変が相次ぎ、問題視され、規制対象となりました。
欧州連合(EU)では2010年代に、ほぼすべてのネオニコチノイド系農薬の使用が原則禁止になりました。
アメリカでもニューヨーク州やバーモント州で禁止や規制の動きが出ています。
一方、日本では逆に規制が緩和され、宮古島では基幹作物のサトウキビへの農薬としてネオニコチノイド系の農薬の使用量が増えていきました。
「宮古島地下水研究会」の調べによると、宮古島市でのネオニコチノイド系農薬の供給量は2014年には6.6トンだったが、2021年には2014年比2.68倍の17.7トンに増加したそうです。
出荷量の増加に伴い、地下水や水道水中の濃度も上昇し続けています。
以下は、近年の宮古島市の水道水に含まれていた、ネオニコチノイド系農薬の成分の1つであるクロチアニジンの含有量の調査結果です。
調査年度 | 水道水中のクロチアニジンの平均濃度 | 備考 |
---|---|---|
2022年度 | 30ng | 地下水研究会による調査 |
2025年度 | 103 | 地下水研究会による調査 |
2025年5月 | 140 | 宮古島市水道部による調査(城辺保良地区) |
※EUの水質基準は100[ng/L]未満です
ネオニコチノイド系農薬研究の第一人者として知られる、神戸大学大学院の星信彦教授によると、
・有害な影響が出ないとされる微量な濃度のクロチアニジンを投与したマウスが異常行動をとることを発見。
農薬は「安全」とされるわずかな量でも人に影響を与え得ると指摘しています。
・2023年に宮古島を訪れた星教授は、
宮古島でのネオニコチノイド系農薬の使用量増加と発達障害児の増加の間には因果関係があるのではないか
と述べ、因果関係の可能性を示唆しています。
このような状況を考えると、やっぱり宮古島の飲料水が心配になりますよね。
市でも対策を進めているようですが、市議会での議論は長引き、すぐに改善される気配は無さそうです。
現状では、暮らしと健康を守るために、飲料水も自分で何とかしていくしかないのかもしれません。